日本人の子が帰化を希望する場合には、一部の要件が緩和、または免除されます。本記事では、「日本人であった者の子」と「日本人の子」という2つのケースについて、それぞれの法的要件や手続きの流れを詳しく解説します。
「日本人であった者の子」に適用される帰化条件
「日本人であった者」とは、元々日本人だったものの、その後外国籍を取得したことで日本国籍を失った方などを指します。父または母が、元日本人だった場合です。
加えて、ご自身が日本で生まれた方、または父母のどちらかが日本で生まれた方も、日本との地縁的な結びつきを考慮し「日本人であった者の子」同様の緩和措置が受けられます。
また、10年以上前から日本に居所(住所ほど固定的ではないものの、一定期間生活の本拠としている場所)を持っている方も対象です。もちろん、適法なビザを持って滞在している必要があります。なお、帰化申請の際には「住所」を有している必要があります。
上記の条件を満たす方は、帰化要件のうち住所条件が緩和されます。他の条件は普通帰化と同じですが、一通りの条件を確認しておきましょう。
①住所条件(緩和)
通常は「引き続き5年以上日本に住所を有する」という条件が、「引き続き3年以上住所または居所を有する」に緩和されます。
②能力条件
18歳以上で、本国法においても成人である必要があります。
③素行条件
素行が善良である必要があります。具体的には、税金や年金の未納、交通違反の常習、犯罪歴がないことなどです。
④生計条件
自己または生計をともにする家族の資産や技能によって、安定した生活が可能であることが必要です。
⑤重国籍防止条件
日本国籍を取得する際に、元の国籍を失うことができる必要があります。
⑥憲法遵守条件
暴力によって政府転覆を企てるなど、反社会的な思想を持っていてはいけません。
⑦日本語能力
日常生活に支障がない程度の日本語能力が必要です。具体的には小学校3~4年生レベル、日本語能力試験(JLPT)でいうとN3~N4レベルの日本語力が求められます。
「日本人の子」に適用される帰化条件
父母のどちらかが日本人で、日本に住所を持っている子(養子を除く)が該当します。具体的には、国際結婚した日本人の子が、生まれたときには日本国籍を選択しなかったものの、その後日本に帰化する場合などです。
他国に帰化して日本国籍を失った人が、再び日本に帰化したい場合も「日本人の子」として要件が緩和される対象になります。
日本人の子に該当する場合、普通帰化条件のうち、住所条件、能力条件、生計条件が緩和、または免除されます。その他の条件は普通帰化と同じですが、改めて確認してみましょう。
①住所条件(緩和)
通常は「引き続き5年以上日本に住所を有する」という条件が、日本人の子の場合は「日本に住所を有する」だけで要件を満たします。
②能力条件(免除)
普通帰化では18歳以上で本国法においても成人であることが求められますが、日本人の子であれば年齢は問われません。
③素行条件
素行が善良である必要があります。具体的には、税金や年金の未納、交通違反の常習、犯罪歴がないことなどです。
④生計条件(免除)
普通帰化では安定した生活が可能であることが求められますが、日本人の子に関しては問われません。
⑤重国籍防止条件
日本国籍を取得する際に、元の国籍を失うことができる必要があります。
⑥憲法遵守条件
暴力によって政府転覆を企てるなど、反社会的な思想を持っていてはいけません。
⑦日本語能力
日常生活に支障がない程度の日本語能力が必要です。具体的には小学校3~4年生レベル、日本語能力試験(JLPT)でいうとN3~N4レベルの日本語力が求められます。
終わりに
「日本人であった者の子」や「日本人の子」に該当する場合、通常よりも緩和された条件で帰化が認められる可能性があります。しかし、申請には詳細な書類の準備が必要であり、専門的な知識が求められる場合も多いです。不安な点があれば、行政書士などの専門家に相談することをおすすめします。