簡易帰化 9つの条件

簡易帰化(特別帰化)とは、日本国と密接な関係を持つ外国人が、特定の条件を満たす場合に普通帰化よりも要件が緩和される帰化申請の一種です。在日韓国人や在日朝鮮人などの特別永住者、日本人と結婚している外国人、日本人の子供などが主な対象となります。ただし、要件が緩和されるだけで、申請書類が簡略化されるわけではなく、手続きの複雑さや必要書類のボリュームは普通帰化と同等か、それ以上になる場合があるので注意が必要です。

簡易帰化の主な特徴は、普通帰化で求められる7つの条件のうち、住所条件や能力条件、生計条件などが緩和される点です。以下では、簡易帰化が適用される9つの具体的な条件について詳しく説明します。

目次

住所条件が緩和される方

①日本国民であった者の子(養子を除く)で、引き続き3年以上日本に住所または居所を有する者

過去に日本国籍を持っていた両親が、外国籍に帰化した後に生まれた子供が該当します。例えば、日本国籍を持つ家族が海外移住し、現地で外国籍を取得した場合、その子供は「日本国民であった者の子」として認定されます。この場合、本来であれば引き続き5年以上日本に住んでいる必要がありますが、引き続き3年以上日本に住むことで帰化要件を満たせます。

②日本で生まれた者で、引き続き3年以上日本に住所または居所を有する者、またはその父または母(養父母を除く)が日本で生まれた者

日本で生まれた在日韓国人や在日朝鮮人の特別永住者の方が多く該当します。さらに、親が日本で生まれた場合、その子供もこの条件を満たす可能性があります。

③引き続き10年以上日本に住所または居所を有する者

在日韓国人・在日朝鮮人の方、10年以上日本に滞在している外国人が該当します。この条件を満たす場合、就労経験が1年以上あれば住所条件が緩和されます。

住所条件と能力条件が緩和される方

④日本国民の配偶者で、引き続き3年以上日本に住所または居所を有し、かつ、現に日本に住所を有する者

日本人と結婚している外国人の方で、3年以上日本に住んでいる場合はこの要件を満たします。ただし、法律上正式に婚姻が成立している必要があり、事実婚ではこの要件を満たしません。

⑤日本国民の配偶者で、婚姻の日から3年を経過し、かつ、引き続き1年以上日本に住所を有する者

このケースは、結婚後海外に住んでいたが、その後日本に移住し、1年以上居住している場合に該当します。

住所条件と能力条件に加え、生計条件も緩和される方

⑥日本国民の子(養子を除く)で、日本に住所を有する者

両親が先に帰化して日本国籍を取得し、その後子供が帰化を申請する場合が該当します。また、父母どちらかが日本人で、出生時に日本国籍を選択しなかった子供が後に帰化する場合も含まれます。

⑦日本国民の養子で、引き続き1年以上日本に住所を有し、かつ、縁組時に本国法により未成年であった者

このケースは、親の再婚により連れ子として日本に来た外国人が、未成年の時に日本人と養子縁組をした場合が該当します。縁組時の年齢は本国法に基づいて判断されます。

⑧日本の国籍を失った者で、日本に住所を有する者

過去に日本国籍を持ち、外国籍を取得して日本国籍を喪失した者が該当します。ただし、一度帰化して日本国籍を取得した後に再度喪失した者は対象外です。老後に日本に戻りたいと考える方などがよく該当します。

⑨日本で生まれ、出生時から国籍を有しない者で、出生時から引き続き3年以上日本に住所を有する者

無国籍状態で生まれた子供が該当します。例えば、出生地主義を採用している国の両親のもとで日本で生まれた場合、日本国籍を自動的に取得できないため、この条件が適用されます。

簡易帰化の注意点

簡易帰化は住所条件や能力条件、生計条件が緩和されることで、対象者にとって申請の可能性が広がる制度です。しかし、「簡易」という名称に惑わされず、以下の点に注意してください。

必要書類の量は普通帰化と同等以上

必要な書類の量や準備の手間は、簡易帰化でも通常の帰化と変わりません。むしろ、該当する条件を証明するための追加書類が求められるため、準備する書類や労力は普通帰化以上になることが多いです。

緩和される条件は一部のみ

簡易帰化で緩和されるのは一部の条件のみです。他の条件、例えば素行条件や思想関係の条件などは普通帰化と同じく満たす必要があります。

法的判断が必要

帰化申請の可否は、法務局が十分な時間を掛けて厳しく審査します。ご自身が簡易帰化の条件に該当するかどうかの判断はケースバイケースで異なりますので、事前に専門家に相談することをおすすめします。

まとめ

簡易帰化は、日本との深い関係性を持つ外国人にとって、日本国籍を取得するための有用な制度です。しかし、申請には慎重な準備と十分な理解が必要です。自分がどの条件に該当するのかを正確に把握し、必要書類を整え、専門家と相談しながら進めることで、スムーズな手続きが可能となるでしょう。

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